ウォルドウ
この物語の世界では、放射エネルギーがエネルギー体系の主流を占めています。この放射エネルギーを受信機で受けて動力源とします。自動車を始め、住宅や工場なども放射エネルギーに依存しており、この放射エネルギー抜きには社会が成り立ちません。ところが最近、あちこちのエネルギー受信機が機能を発揮しなくなる現象が多発しており、その数は増加する一方です。困った電力放送会社は天才科学者のウォルドウに原因の解明を依頼します。
評価
昔の人が考える未来予想図
読み進めているとなにか違和感を感じました。
「まさか、それに乗っていく気じゃないでしょうね。真夜中まで、かかっちまいますよ」
「べつに、かまわんじゃないか?予備の宇宙用駆動装置も付いているし、なにしろ頑丈だ。ここから月へ行って、また帰ってくることだってできる」
「ええ、でも、かたつむりみたいにのろい。ぼくの”箒の柄”を使いましょう」
この違和感はなんだろうと考えてみると、登場するアイテムが原因のようです。宇宙まで軽々と飛ぶ自家用艇やウォルドウ装置というロボットアームの描写のコレジャナイ感。昔の人が考える未来予想図のようで下の絵を連想しました。
そして、読み進めていくと登場する魔術使いのシュナイダー爺さん!これはSFじゃないよ!ファンタジー小説だよ!
ハイラインの他の小説を読んでもこういった違和感は感じません。ファンタジー用にわざとらしく描写しているのでしょうか。
魔法株式会社
魔法が当たり前に存在する現代社会の物語です。ある日、魔法を利用した建築屋を営んでいる主人公のもとにをチンピラが訪れます。チンピラは魔術師の組合に入るように要求しますが主人公は断ります。その日を境に主人公の身の回りでいろいろなことが起こり始めます。
魔法が当たり前の社会
こちらもファンタジー小説です。1ページ目から呪文やら幻術師やら魔術といった言葉が目に飛び込んできます。他にも魔法使い、精霊、悪魔と全力でファンタジーを突き進んでいます。
魔法が当たり前に存在する現代社会を描いている点に面白さを感じました。
「あなたはどうやら、誤解されているようだ。わたしがディットワース氏と交わした合意書によれば、協会の認可うけた幻術師は、料金を勝手に決めては行けないことになっている。」
魔法の料金の支払を巡って、主人公と魔術師はモメます。魔法がある世界でもお金は大事なようです(笑)
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>そして、読み進めていくと登場する魔術使いのシュナイダー爺さん!これはSFじゃないよ!ファンタジー小説だよ!
>ハイラインの他の小説を読んでもこういった違和感は感じません。ファンタジー用にわざとらしく描写しているのでしょうか。
ウォルドゥは小型マニピュレータでさらに超小型のマニピュレータを作ってさらにと繰り返す部分を取り上げてファインマンよりも早いナノテクの祖と言われます。
ナノスケールでの物性の変化、量子コンピュータの非アリストテレス的論理、技術的特異点とも呼ばれる魔法のような技術への期待感を考えれば、魔法と絡めて話を展開するのは達見過ぎて逆に怖いレベル。