評価 review_3

原作の世界観に惹かれる

SF小説は、映画の原作としてよく利用されます。活字を追っていき、自分の頭のなかに物語の世界を創り上げていくのは楽しい作業です。

しかし、映画館で迫力のある映像を楽しむのも良いものです。たまにコレジャナイ!というのもありますが。本書は、以下の視点で作品をピックアップしています。

このアンソロジーは、過去に映画やテレビの素材となった物語の中から、広い意味でのSFスリラーを――それも、最近になって大手映画会社で映画リメイクの企画が立ち上げられたものを選んで、一冊にまとめたものである。

(解説より)

SF映画の制作はお金が掛かります。映画の原作に選ばれるほどの作品には、なにか魅力があるようです。本書には、1940年代に発表された古い作品も含まれていますが、映画化されるだけあって、面白さは今でも色褪せていません。

地球の静止する日 / ハリー・ベイツ

【あらすじ】
ワシントンD.C.に着陸した銀色の円盤から、クラートゥと名乗る男とグラットという名のロボットが現れた。男は出迎えた大委員会の面々に自己紹介をした次の瞬間、精神異常者に銃撃され、殺されてしまう。 後にはロボットと宇宙船が残された。

キアヌ・リーブスとジェニファー・コネリー主演する映画(邦題「地球が静止する日」)の原作です。映画は、小説の基本設定を利用して、原作の1000倍はド派手な映画に仕上がっています。個人的には映画のほうがわかりやすくて好きです。

「きみは誤解している」グナットは言った。

そりゃ誤解しますよ。原作の結末には、頭を捻ってしまいました。他の面白い作品のついでに、この作品も読んでみたらというくらいです。

38世紀から来た兵士 / ハーラン・エリスン

【あらすじ】
38世紀で歩兵として第七時大戦に参戦しているクァーロは、爆発の衝撃で20世紀にタイムスリップしてしまう。遠未来の戦争しか知らないクァーロは、公会堂の聴衆を前に、その体験を語る。

この作品は、映画「ターミネーター」の原案の1つです。作品冒頭の38世紀での戦場の状況や未来から過去に兵士がタイムスリップする点などの設定の1部分が用いられているようです。
作品に華々しさはありませんが、読み終えると敬虔な気持ちになりました。「念ずれば通ず」という気持ちをしっかり持ちたいと思わせる結末でした。

闘技場 / フレドリック・ブラウン

【あらすじ】】
上位存在は、戦いに敗れた方の種族を滅亡する。種族の存亡を賭け、男と侵略者が一対一で死闘を繰り広げる。

「これは公平な勝負だ。それぞれがもって生まれた肉体的能力だけでは、勝敗が決まらぬよう配慮している。バリアーが用意してあるのだ。いずれわかるはずだ。体力よりも、頭脳と勇気が決め手となるだろう。特に生き残るためには、勇気が重要だ」

いやぁ、面白い!こんな奇抜な着想をよく思いつくものです。男と侵略者は、姿形が違えど実力が伯仲しており、容易に決着がつきません。男と異種族のそれぞれの優位性を活かそうとする戦い方にも感じ入りました。
ドラえもんで有名な 藤子・F・不二夫さんのSF漫画「ひとりぼっちの宇宙戦争は、この作品に、インスパイアされたと言われています。

私はこの漫画を読んだことあります。その後、「闘技場」を読んだ時、既視感に襲われました。間違いなくインスパイアされています。他人にインスパイアされる作品は面白いのです。

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